昭和24年に日本の教育制度が改まり、現在の大学ができ、それと並行して大学進学のための予備校ができましたが、旧制度の時代にも予備校はありました。それは戦前のことで、旧制の高等学校や専修学校、大学予科に入学するための準備機関でした。
予備校も小学校・中学校・高等学校、大学と同じく学校教育法に基づいて認可設置された学校です。小学校から大学までの学校は学校教育法第1条に基づいて認可設置され、予備校は、工業、医療保健、語学ビジネス、服飾デザイン等の専門学校などと同じく、学校教育法第82条または第83条に基づいて認可設置される専修学校または各種学校となります。
ただ一部には、無認可の予備校もありますので、「認可校」か「無認可校」かを確かめてください。
高校生活と両立できるように、現役生のための授業は夕方からとしているのが普通です。それでも通学距離や高校の時間割、クラブ活動などで多少の支障が起ることがあるかもしれません。それを調整して、多くの生徒が通学しています。
予備校は大学へ進学するための学校ですから、自分の志望校、志望学部にあった授業が展開され、大学合格を実現できる予備校を選ぶべきです。授業の内容、設置されているクラス、設備、学費などを、自分の目でよく確かめましょう。
試験に合格しなければ、入学できないクラスを設けているところもあります。しかしそれ以外に、試験はせず、申し込み順に入学できるクラスもあります。前者を選抜クラス、後者を一般クラスと呼ぶこともあります。
予備校では入学を希望する生徒に説明会を開いたり、授業を公開したり、授業を収録したビデオを放映したりして、具体的に授業を理解してもらう努力をしています。予備校へ行ってみるのが予備校選びの最善の方法です。
多くの予備校で、夏休みと冬休みの講習会を開きます。春にも行うところがあります。これらは、期間を限った短期のもので、現役生も浪人生もその講習会だけの受講を申し込むことができます。
講習会や模試で、在籍している予備校とは違う予備校を利用することはあります。また、まれに2つの予備校に在籍して授業を受ける人がいますが、これはどちらも中途半端になる危険性があり、あまりおすすめできません。
予備校の授業は、1年間(短期間)で大学に合格できる学力を養成するようにカリキュラムが組まれています。授業を受けないと、それだけ学力が定着しにくくなります。決められた授業には必ず出席してください。
予備校のクラスは学力レベル別になっているところが多いので、実力に合ったクラスを選び高校の授業と同じように予習・復習を欠かさなければ、授業には必ずついていけます。
生徒の多い大きな予備校には、いろいろな志望校を持つ生徒がいて、クラス選択の幅が広がります。少人数のところは、生徒の1人ひとりへの指導が行き届いています。しかし大規模校はともすれば多数の中に自分が埋没しかねませんし、少人数校は自分に合った学校でないと、かえって勉強しにくくなります。どちらが自分に向いているか、しっかりと見きわめましょう。
志望校に国公立・私立、学部系統別に文系・理系・医歯系・薬学系など、大学別に東大・京大・早大・慶大などにわかれます。予備校によりそれが細かくなります。また、選抜クラス・一般クラスという学力別のわけ方もあります。
選抜クラスは、試験に合格してはじめて入学が許可されるクラス、一般クラスは申込み順に入学できるクラスです。選抜クラスは受講する生徒の実力がわかっているので、一般クラスより授業内容が高く、進度も早くなるのが普通です。
学期の途中で、自分の学力と授業内容やレベルが合わない場合、クラス変更を認めるところがあります。また実力が大幅に伸びた場合、上位のクラスに変更できるところもあります。編入試験を行うところもあります。
志望大学、志望学部によってクラスが違うようにテキストも異なります。テキストは、予備校により工夫されていますが一般的には、入試突破の実力を養う頻出問題や予想問題を掲げ、重要事項などがまとめられています。
1年を通して行う授業は、高校と同じように午前9時始業が一般的です。その他、午後始業のクラスもあります。現役生のためのクラスは、午後5時前後の始業になります。
国立志望のクラスと私立志望のクラスでは、受験科目の違いにより時間割が異なります。国立だと、午後3時頃のこともあり、5時までの時もあります。私立では、選択科目を午後勉強するところもありますが、午前中が中心です。現役生は、夕方から午後7時半〜8時半頃までです。
約1時間ぐらいのところが多いようです。ただし、90分〜100分授業を行うところもあり、途中で5〜10分の休憩を入れる場合もあります。
大部分の予備校で出席をとっています。生徒自身がサインしたり、出席カードを機械に読み込ませたり方法はさまざまです。志望校合格のためには、授業への出席は不可欠なので出席をとるのは当然といえるでしょう。
原則的に日曜・祭日は休みます。夏休みと冬休みもありますが、その間は講習会が開かれていて、多くの生徒はそれに参加しています。また、休日に模試を行うこともありますから、実質的にあまり休みはないと思った方がよいでしょう。
基本問題から応用問題まで、幅広く出題する総合模試が一般的です。また、志望大学別に行われるのが大学別模試です。センター試験についても、大学入試センター模試が行われます。高校1・2年生用には入試の基礎力を養成する基礎力試験があります。
夏休み・冬休みの講習会が一般的です。夏休みは期間が長いので多くの講座が準備され、実力養成がねらいです。冬は入試の時期が迫っているので、直前講習ともいわれ、答案作成法と予想問題演習が中心です。この他受験勉強のスタートとなる春休みの講習会もあります。
自宅から通学できない人のために、予備校によっては学生寮を設けて、下宿を斡旋している場合があります。入寮のメリットは規則正しい生活ができることと、同じ目標をもった仲間と互いに競いあえることです。
休日でも授業のある日は、利用できる場合が多いようです。ただ、休日は開館していても、利用できる時間がいつもと異なる場合がありますから注意してください。自習室の有効利用も予備校に通うメリットの1つです。
快適な環境で勉強できるように、どこの予備校でも冷暖房はほとんど完備されています。受験生にとって天王山の夏も、予備校に来ていれば快適に勉強できるというわけです。
健康で充実した生活を送ってもらうためにも、食堂を設けているところがあります。安価で栄養のあるメニューをそろえています。また、文房具やコピー機など、勉強に必要なものを購入できるように売店のある予備校もあります。
予備校は大学合格に向けて勉強するところなので、体育館やグランドなどの運動施設はあまりありません。ただ、受験生は運動不足になりがちですから軽い運動を指導したり、気分転換法を教えることがあります。
予備校では入学オリエンテーションや講演会、受験生激励会などの多彩な行事で、みなさんの合格までの1年間をバックアップしています。予備校によっては、リフレッシュのためにスポーツ大会などを行っているところもあります。
予備校生の中には、新聞配達をしながら勉強している人もいます。経済的に恵まれない人が、アルバイトをしなければならないのは理解できますが、小遣いかせぎのためにアルバイトをするのは、予備校時代はやめた方がよいと思います。できるだけ勉強に集中してもらいたいからです。
校則はありますが、それほど厳しいものではありません。校舎内の禁煙とか教室内での飲食物の持込禁止(昼食の弁当は別ですが)など、他の生徒の迷惑にならないよう最低のマナーを守るためのものです。
これはJRの規定で定められているもので、年間の通学日数が問題となります。総合科とか本科生と呼ばれる、年間を通して通学する高卒生対象のクラスに4月から在籍すれば、問題なく学割の適用を受けることができます。
推薦入試は現役生の特権ではなく、予備校生も受験可能な大学は多くあります。
大学院修士課程終了以上、または教職歴3年以上という講師の募集広告を出している予備校もあります。特に定められた資格はありませんが、大学受験生を教えるだけの知識と、教授法をマスターしている人が採用されることになります。
生徒が1年を通して通学するクラスには、クラス担任(あるいはチューター)を置くところが多いようです。担任の役割は生徒の成績を掌握し、生徒の現状をチェックすることです。悩みがあれば個人的に相談にのり、受験生をバックアップします。
総合科生とか本科生は、年間でカリキュラムが組まれていますから、自由には選択できません。単科クラスや講習は教科ごとにレベル別の編成になっていますので、都合のよい時間帯のクラスや講師を選択することができます。
クラス担任がいたり、チューター制度があったりと、予備校によって違いますが、講座選択の方法から受験プランの立て方、学部・学科の内容あるいは、受験生活に関する悩み等さまざまな相談に応じています。
申し込み時に授業料を納めます。年間申し込みの場合、全額納入が原則ですが、分割払いを認める予備校もあります。各学期・講習ごとに申し込む場合は、それぞれの申し込み時に受講する学期・講習会の授業料を納めます。
コースや受講科目によって違いますが、高卒生なら毎日通う本科生で年間60〜70万円前後、夕方から始まる高3生コースで年間15〜25万円程度、科目を選んで受講する単科講座なら1講座年間で6〜8万円が平均的です。ただし、学費は予備校や講座の内容によりかなり異なりますから、個々のケースを調べることが必要です。
初めての申し込みであれば入学金が必要となります。教材費や施設費等は授業料に組み込まれている場合が多いようですが、授業料とは別に教材費等を徴収する予備校もあります。申し込み時に確認する必要があるでしょう。